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金大法科大学院、見送りへ 来春設置の準備整わず 
 .北國新聞社  2003年6月17日  
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北國新聞社  2003年6月17日
金大法科大学院、見送りへ 来春設置の準備整わず

 金大での来年四月の法科大学院(ロースクール)設置が見送られる公算となった。十六日、文部科学省関係者が明らかにした。金大は十七日の法学部臨時教授会で意見集約し、十八日以降に林勇二郎学長が設置申請するかどうか最終判断するが、申請しても開設が認められるのは難しい情勢だ。

 文科省関係者によると、金大での設置が困難になったのは教官の確保やカリキュラム策定などの準備が十分に整っていないことが理由とされる。現在の金大法学部の司法試験合格者は年に数人程度で、定員六十人のうち四十人以上の合格を目指す同大の法科大学院について「現状のカリキュラムのままでは合格率を急にアップさせるのは厳しい」(同関係者)との見方が多い。

 十六日の金大側と同大出身の法曹関係者との懇談でも、大学側は、構想を練る段階で数人の法学部教官が他大学に引き抜かれたことや、カリキュラムの質が他大学に比べ劣っている現状を説明したという。さらに大学側は設置認可の厳しい見通しを示し「申請して認可されなかった場合、取り返しのつかない傷を負うことになる」として、今年の申請見送りも含めて法曹側に理解を求めた。

 ただ、今月中に申請を予定する全国七十二校の定員総数がすでに約六千人と、新司法試験で見込まれる合格者の二倍に達していることから、法曹側には「今年申請しなければ来年以降に文科省が申請を受け付ける可能性は小さいのではないか」「北陸三県で北陸大に設置されれば『金大には不要』となりかねない」との不安の声もあり、あくまで今年の申請を求める意見が強い。

●金大法曹会が申請求める

 金大出身の法曹関係者でつくる同大法曹会は十六日、金沢市西町教育研修館で、予定通りの申請を金大側に要請した。

 同会副会長の杉原弘泰・元大阪高検検事長や幹事長の山腰茂・元金沢弁護士会長らとの懇談後、林学長は「大学の状況に理解を求めた。十八日以降に学長判断を下すと説明した」と述べるに止まった。

 山腰幹事長は「なぜ今ごろになって『申請を検討』という話が出てくるのか」と大学側の姿勢に疑問を呈し、金大運営諮問会議委員でもある杉原副会長は「何とか申請してほしい。前向きに検討していただけると考えている」と話した。